マーケティング事例を学ぶ『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?:盛岡毅』

USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? マーケティング
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今日は『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』についてです。
・USJのV字回復の秘密を知りたい!
・マーケターとしての思考法を知りたい!
・素晴らしいアイデアを次々と出せるような人になりたい!
と、プロのマーケターとして生きていきたいと思っている、そんなあなたにお薦めの本です。

USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?

プロローグ
私は奇跡という言葉が好きではありません

第1章
窮地に立たされたユニバーサル・スタジオ・ジャパン

第2章
金がない、さあどうする?アイデアを捻り出せ!

第3章
万策尽きたか!いやまだ情熱という武器がある

第4章
ターゲットを疑え!取りこぼしていた大きな客層

第5章
アイデアは必ずとこかに埋まっている

第6章
アイデアの神様を呼ぶ方法

第7章
新たな挑戦を恐れるな!
ハリー・ポッターとUSJの未来

エピローグ
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンはなぜ攻め続けるのか?

USJでの戦いの始まり

マーケターの輩出機関と言っても過言ではないP&G出身の森岡氏は2010年の6月、当時の株式会社USJのCEO、グレン・ガンペルと、面談をしていました。

グレン氏:「日本人はどうしてリスクを冒さないのか?」

森岡氏:「その多くは変化を起こす必要性を理解していないからです。日本人にそうでない人間もいることを、残念ながらあなたはまだ知らないようですね。」

開業初年度は年間1100万人の動員をしていたUSJも、2010年には年間700~800万人の動員と苦戦しており、改革が急務でした。
その改革を任されていたCEOのグレンは自分の右腕となるプロのマーケターを探していたのです。

「3段ロケット」構想

グレンに惹かれ、USJへの入社を決意した森岡氏が入社後すぐに、ぶち上げたのがUSJを飛躍的に成長させる「3段ロケット」構想です。
1段目
テーマパーク事業最大のボリュームゾーンでありながらUSJの長年の弱点だった「家族連れ顧客(ファミリー)」を取り込む事
2段目
遠方からゲストを集客できる「ものすごい何か」を作って関西依存の集客構造から脱却すること
3段目
科学的経営管理法に基づいてパークを効率的に運用するこの会社のノウハウを複数の場所に展開して、会社を大きく飛躍させていくこと
という構想です。

1段目として考えたのが、ファミリーエリアの建設。
そして2段目として考えたのが今やUSJの代名詞ともなっているハリーポッターです。
しかしこの「Harry Potter and the Forbidden Journey」の建設費用を算出するとなんと450億円もかかる事が分かりました。

当時のUSJの年間売上が約800億円でしたので、売上の半分以上の投資が必要という事が発覚したのです。
森岡氏は、グレンを含む社内の反対を、数字を緻密に積み上げていく事で説得していきます。
45億円の小さな投資を10回やるより、450億円の大きな投資を一回やる方が結果として効果があるのだと。
最終的にはグレンも「バットを振れ(やってみろ)」と、森岡氏の背中を押してくれたそうです。

映画だけのテーマパークからの脱却

ビジネスが上手くいかない時に起こりがちなのが「こだわるポイントが間違っている」という事です。
細部にこだわり過ぎるために、「お客様を楽しませる」という一番の目的から逆行していたりという事はよく起こります。

森岡氏がまずはじめにチャレンジしたのは「映画だけ」のテーマパークからの脱却です。
USJの場合、映画だけにこだわり続けていたことが「間違っているこだわりポイント」でした。
別に間違っているわけではないのですが、映画だけにこだわっていると、これ以上の成長がないのです。

人がエンターテイメントを楽しむとき、映画を選択する可能性はざっくり言って1割しかないんだそうです。
映画だけに絞ってしまうと、ターゲットが10人に1人しかいなくなってしまう訳です。
もちろん、多くのマーケティングの本にはターゲットを絞れと書いてあるのでこの戦略が大間違いな訳ではありません。
ただ、年間集客1000万人以上を目指すUSJにとって、このターゲットの絞り込み、映画へのこだわりは間違っているこだわりポイントだったのです。

社内の反対も非常に大きかったそうですが、USJは「映画の専門店」から「世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップ」への変貌を遂げていきます。

イノベーション・フレームワーク

森岡氏が数々の問題を解決する際に使うのが「イノベーション・フレームワーク」です。
森岡氏はこの方法を「アイデアの神様を呼ぶ方法」と表現しています。
イノベーション・フレームワークとは以下の4つの事です。

①フレームワーク
アイデアを生み出すに当たって、最初に最も大切な事は
「何を必死に考えれば良いかがわかっていること」なんだそうです。

よいアイデアとはどんな条件を満たすアイデアなのでしょうか?
その条件を満たすために、どこに焦点を定めて頭脳をフル回転させるべきなのか?

ここがぶれていると大海原の中で隅から隅まで色んな魚を探すようなもので、いつまで経ってもいい魚は見つかりません。
まずはどんな魚を釣ればいいのかを決めるところからがスタートです。
ここが、イノベーション・フレームワークの中の一番大切なところと言っても過言ではありません。

②リアプライ
ゴールが決まったら、真似できるアイデアはないかを探します。
1から考えていてはなかなかゴールにたどり着けません。
過去、同じようなゴールを目指した人はいないか、その人たちはどうやってそのゴールを達成したのか?
全く同じことをするのではなく、真似できる要素はないか、リアプライできるアイデアはないかを探します。

③ストック
日頃から情報をストックしておく事も非常に重要です。
フレームワークが決まってからそのアイデアについて、真似できることを考えだすより、普段から様々な情報に触れて自分の中に情報のストックがあった方が、アイデアは早く生まれます。
人間は気がつかないことは考えられません。
アイデアの素になる様々な情報に常日頃から触れておくことが大切です。

④コミットメント
最後は精神論になりますが、絶対にアイデアを出すという決意をすることが大切です。
淡白な人に「確率の神様」は微笑んでくれません。
考えつくまで絶対に考え抜くんだ!という強い決意をもって考え続けられる人にだけ、アイデアの神様は舞い降りてくれるんだそうです。

USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?

本書のタイトルでもある後ろ向きに走るジェットコースターのアイデアはどうやって生まれたのでしょうか。
著者の森岡さんは、イノベーションフレームワークを使って日々、集客のアイデアを考えていました。
しかし、なかなかいいアイデアが思い浮かばないまま、パーク内を歩きまわっていたそうです。
森岡氏は、答えは現場にあると思っており、問題にぶち当たった時はよく現場を訪れるんだそうです。

一日中パークを歩き回ってジェットコースターを見て眠ったその夜、昼間見たジェットコースターが後ろ向きに走る夢を見たんだそうです。
時間は夜中の2時34分。
必死に考え続けた森岡氏にアイデアの神様が舞い降りた瞬間でした。

まとめ

森岡氏がUSJで仕事を始める事になった2010年には約700万人だった入場者数は、2013年には1000万人を突破、更に2014年には過去最高に1200万人を突破しました。
森岡氏がUSJで仕掛けたアイデアは
・450億円のハリーポッター
・ゾンビが溢れるホラー・ナイト
・世界一のクリスマスツリー
・ユニバーサルワンダーランド
・後ろ向きに走るジェットコースター
と、結果だけ見れば素晴らしいアイデアの数々。
実に輝かしい戦歴のように見えますが、その裏には考え抜かれたマーケティング戦略、そしてそれを生み出すための日々の地道な努力・思考法が隠されていました。

なにかを考える時、ただボ~っと考えるのと、この思考法を使って考えるのでは出てくる答えに雲泥の差が出ます。
素晴らしいアイデアを考えるためにはまず自分が「何を必死に考えれば良いか」を理解する事が大切なんだそうです。

そんなの当たり前だと思うかもしれませんが、実はこの自分が考えなければならなならないゴールを理解しているかどうかというのが、メチャメチャ大事な事なんだそうです。

今日のあなたへの質問
「あなたは今、何を必死に考えれば良いですか?」
少しでも参考になったら嬉しいです。
それでは今日もご機嫌な一日を!

マーケティングを極めたいならこの本もお薦めです。

マーケター初心者の方でも読みやすいおすすめの5冊はこちらです!

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