今日はヤクルト、阪神、東北楽天イーグルスの監督を歴任した野村克也さんの本『野村再生工場』についてです。
・イマドキの若者の𠮟り方や褒め方、教え方が分からなくて困っている
・自分自身が会社で上手くいかず、くすぶっている
この本は、自分自身、もしくは上司としての自分の振る舞いに苦戦しているあなたにおすすめの一冊です。
野村監督プロフィール
1935年 京都生まれ。
1954年 京都府立峰山高校卒業
同年 南海(現福岡ソフトバンク)ホークスへテスト生で入団。
1956年 本塁打王
1965年 戦後初の三冠王
MBP5回/首位打者1回/本塁打王9回/打点王7回/ベストナイン19回/ゴールデングラブ賞1回
通算成績2901安打、657本塁打、1988打点、打率277
1990年 ヤクルトスワローズ監督 4回優勝(日本一3回)
1999年 阪神タイガーズ監督
2002年 社会人野球シダックスGM兼監督
2006年 東北楽天ゴールデンイーグルス監督就任
この本はそんな輝かしい記録の持ち主、野村監督がご存命だった2008年に出版された本です。
野村再生工場
野村監督は南海ホークスで自分自身が選手だった時代から、周りの多くの選手たちを成長させてきました。
その中には、他の球団で戦力外通告を受けた選手も沢山含まれており、いつしか『野村再生工場』と、呼ばれるようになりました。
野村監督の哲学には、
『失敗』と書いて『せいちょう』と読む
指導者は選手を好き嫌いで判断してはいけない
などの、監督ならではの、考え方がありました。
スタートは意識改革
野村監督が組織づくりで、最初に行うのは「意識改革」なんだそうです。
心が変われば態度が変わる
態度が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる
習慣が変われば人格が変わる
人格が変われば運命が変わる
運命が変われば人生が変わる
「考え方が変われば行動が変わる」というヒンズー教の言葉をヒントにしており、「この監督についていけば絶対に勝てる」と、選手たちの心に火をつけるところからスタートするんだそうです。
選手には教えない
野村監督が普段からコーチ陣に言っていたのが「なるべく教えるな」という言葉。
まずは選手にやらせて、うまくいかないという問題意識を芽生えさせる。
「どうしたらいいのでしょうか?」
と、選手から訊いてきた時に徹底的に教え込む。
初めからこちらが伝えたい事を一気に伝えたところで、訊く姿勢の整っていない選手たちには響かないんだとか。
一方で、よいチームの条件として、先輩選手が後輩に自然とアドバイスするような環境が整っているという事が挙げられると言います。
選手間で自然に教え合う文化ができており、監督やコーチは選手たちから求められた時のみ、教える。
そんなチーム文化が、一番成長する環境なんだそうです。
明確な目標
野村監督は選手たちにこんな質問を投げかけます。
「将来、どんなバッターやピッチャーになりたいのか」
「何勝したいのか、何割打ちたいのか」
「いくら稼ぎたいのか」
「では、そのためにどうすればいいのか?」
「何をしなければいけないのか?」
野村監督がプロ野球の世界に身を投じた最大の理由は「金を稼ぐため」という単純な理由でした。
その理由がいい悪いとかの話ではなく、明確な目標だったからこそ、野村監督の選手時代の偉大な記録は作られました。
「なんのためにその仕事をしているのか?」
そこが、明確になればなるほど、人はその仕事に真剣に取り組めます。
自分の評価は他人の評価
自分が試合で使われなくなると、責任を監督やコーチに転嫁する。
自分を使わないのは監督が野球を知らないからだ。
そんな風に考える人は多いです。
しかし、野村監督は言い切ります。
「人間の価値は他人の評価で決まる。他人の評価が正しいのだ!」と。
その事を理解していない人は大いに伸び悩みます。
すぐに他責にしてしまう人はスポーツの世界でもビジネスの世界でも成長しないのです。
再生は難しくない
結果が出なければすぐにクビを宣告されてしまう厳しいプロの世界。
上手くいっていないほとんどの選手は「ちくしょー!なんとかしてたい!」と思っています。
その気持ちが再生の第一歩です。
しかし、一方で
「僕はこれが精一杯です」
「自分の力はこんなもんです」
といった自己限定の気持ちも持っている。
その自己限定を捨てさせ、自信を与える。
そのために、よく考えさせ、選手自身に気づかせる。
再生に最も必要なのは愛情と、野村監督は言います。
一年目はまず、畑を耕さなければならない。
二年目にいい種を撒き、それを育てます。
花が咲くのは早くても三年目。
そんな気持ちで選手やチームを一流に育てあげていきました。
誰かが見ている
見ている人は見ているよ。
仕事は絶対に手を抜いたらダメだ。
全知全能を使ってベストを尽くしなさい。
必ず誰かが見ているから。
野村監督は選手を引退したときに、師と仰ぐ評論家の草柳大蔵さんからこんな言葉をもらいました。
その言葉を胸に、引退後も手を抜かず、解説の仕事を全力投球でやっていた事がきっかけで、ヤクルトの監督就任の話が舞い降りてきたのです。
まとめ
選手時代に偉大な記録を残した野村監督。
それでも通算打率は3割以下。
つまり10回のうち7回以上は失敗している訳ですよね。
それでもその7回を失敗(せいちょう)と、定義づけ、次に活かしていったからこそ、偉大な成績を残し、偉大な監督になった訳です。
野村野球はプロセス重視の野球。
考える野球であり、ID野球とも呼ばれます。
今の自分が上手くいってなくても、その原因やプロセスを細かく分析し、どうやったらもっと上手くいくかを考え、1つずつ実行に移していく。
その積み重ねでしか、偉大な成果は出せないんだなと、改めて感じた一冊でした。
人を育てることに本気でコミットしている人の言葉はやっぱり説得力がありますね。
自分が壁にぶつかった時に何度も読み返したくなる一冊だなと思いました。
今日のあなたへの質問。
「今のあなたの仕事のプロセス、どんなところを改善すればよさそうですか?」
少しでも参考になったら嬉しいです。
それでは今日もご機嫌な一日を!
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